満水のタイ
 2002年の夏は、世界の各地で洪水の被害があり、当時の日本のニュースでも取り上げられていました。 タイもまた、洪水に見舞われた国々の中のひとつです。 チャオプラヤー川流域では、上流から下流に かけて徐々に報告されていきました。2002年度調査では、タイ中部のスコータイという街で、私たちの調査隊は洪水に出会いました。新市街地の中央を流れるヨム川が氾濫し、周囲の建物はまさに浸水寸前にあり、家族総出で土襄を積む作業に追われていました。ところが、新市街地で わずかに存在する高床式住居の家の住人は、その作業をベランダから眺めているに過ぎない床下が 2mもあり、浸水したところで問題がないからです。それが高床式住居の最大の特徴であり、水とともに 暮らすタイ人ならでは知恵だということに気づかされます。こうした水と共生する住まいのあり方を もっと評価すべきである。

(ミツカン 水の文化2003年2月号 満水のタイ  アジアまち居住研究会「タイ中部の水辺の住まいとくらし」から抜粋)  私たちは、ミツカン水の文化センターと共同で研究をしております。
 
 
  


調査
 2002年度は、中部タイの住宅と水との関わり方について、調査しました。今年2003年度は、タイ北部と南部の水と住まいの関わり、集落の相違を考察します。(ここでいう南部とは、実際はタイ南部として位置づけられていない、 河川の下流域のことを指します。)